商標登録を自分でやる方法


商標登録証の見本

<出典:特許庁ホームページ>

商標登録は自分でできる

弁護士(法律事務所)に依頼することなく自分で訴訟を提起できるように、商標登録も、弁理士(特許事務所)に依頼することなく自分(自社)でできます。

商標登録の手続

手続の流れ

商標登録の手続の流れは、下記の通りです。

商標登録の手続の流れ

<出典:日本弁理士会ホームページ『商標権と申請』

商標登録をするためには、特許庁(経済産業省の外局)に対し、少なくとも出願手続登録手続をする必要があります。

出願手続

出願手続とは、必要事項を記載した『商標登録願』を特許庁へ提出する手続のことです。

登録手続

登録手続とは、10年分<10年登録(最初の権利期間=10年)の場合>または前半5年分<5年登録(最初の権利期間=5年)の場合>の登録料(登録印紙代)を納付するための『商標登録料納付書』を特許庁へ提出する手続のことです。

登録手続は、特許庁の審査にパスして『登録査定書』が届いた場合に、その発送日から30日以内にする必要があります。

なお、出願から最初の審査結果書類(登録査定書など)が届くまでの期間は、約8~14カ月です。

出願手続書類の作成・提出

商標登録願のひな型

産業財産権相談サイトに下記のような商標登録願のひな型(WORDファイル)が公開されているので、それをダウンロードしてお使いください。

商標登録願のひな型

<出典:産業財産権相談サイト/商標/各種申請書一覧

商標登録願の書き方・記入例

商標登録願の具体的な書き方は、特許庁ホームページ『願書、申請書の作成方法』(PDF:936KB)をご参照ください。

商標登録願の記入例は、下記の通りです。

商標登録願の記入例

<出典:産業財産権相談サイト/商標/出願書類の書き方ガイド

商標登録出願人

出願人の名義は、法人または個人(戸籍上の氏名)にできますが、法人でない団体、屋号(○○商店など)、ペンネーム、芸名などにはできません。

商標登録後においては、出願人が『商標権者』(商標権の所有者)になります。

商標登録を受けようとする商標

商標の書体を限定しない場合や、商標のデザイン(図案)が未定の場合には、【商標登録を受けようとする商標】欄にテキスト文字<横書き・全角・30字以内>で商標を記載し、その欄の次に【標準文字】欄を追加してください。

一方、商標のデザイン(図案)が決定している場合には、デザイン化(図案化)された商標を15cm平方以内の枠線内に記載してください。

指定商品(指定役務)

指定商品・指定役務は、特許庁ホームページ『類似商品・役務審査基準』例示されている商品・サービスを参考にしてください。なお、例示されている商品・サービスはあくまでも一例ですので、その通りに記載しなくてもかまいません。

指定商品・指定役務がわからない場合には、特許情報プラットフォーム『商品・役務名検索』において、キーワードなどで検索することもできます。

いずれにしても、指定商品・指定役務が不明確な場合には、指定商品・指定役務の内容が不明確である旨の『拒絶理由通知』を受けるので、ご注意ください。

区分

指定商品・指定役務が属する区分(分類:第1類~第45類のいずれか)を記載してください。

区分がわからない場合には、特許情報プラットフォーム『商品・役務名検索』において、キーワードなどで検索することもできます。

出願料

出願手続に際しては、
出願料(出願印紙代:特許庁費用)= 3,400円+8,600円×区分数=12,000円~
がかかります。

出願料は、『特許印紙』(※収入印紙とは別物です。)を商標登録願に貼り付けることにより特許庁へ納付するのが一般的です。

特許印紙は、全国各地の集配郵便局で購入できます。

郵送先

商標登録願は、下記の宛先へ郵送してください。

〒100-8915
東京都千代田区霞が関三丁目4番3号
特許庁長官 殿

郵送に際しては、念のため、『簡易書留郵便』または『書留郵便』とすることをおすすめします。

原則として、商標登録願を発送した日が『出願日』になります。

特許庁近郊の場合には、特許庁の受付窓口へ商標登録願を提出することもできます。

電子化手数料

書面で手続した場合には、
『電子化手数料』<1,200円+700円×枚数=1,900円~>
がかかります。

出願から2週間程度で、『一般財団法人 工業所有権電子情報化センター』から『電子化料金納付のご案内』(振込用紙)が届きますので、その振込用紙に記載された金額を所定の金融機関へお振込(納付して)ください。

電子化手数料の納付期限は、原則として商標登録願の提出日(発送した日=出願日)から30日以内です。

登録手続書類の作成・提出

商標登録料納付書のひな型

出願から4~6カ月前後経過し、特許庁の審査にパスして『登録査定書』が届いた場合には、その発送日から30日以内に『商標登録料納付書』を特許庁へ提出します。

産業財産権相談サイトに下記のような商標登録料納付書のひな型(WORDファイル)が公開されているので、それをダウンロードしてお使いください。

商標登録料納付書のひな型

<出典:産業財産権相談サイト/商標/各種申請書一覧

識別番号

出願から数カ月で、識別番号(出願人を識別するための番号)が記載された『識別番号通知』(ハガキ)が特許庁から届きますので、その識別番号を商標登録料納付書に記載してください。

識別番号を記載した場合には、【住所又は居所】欄を省略できます。

登録料

登録手続に際しては、下記の登録料(登録印紙代:特許庁費用)がかかります。

5年登録(最初の権利期間=5年)の場合: 前半5年分の登録料=16,400円×区分数
10年登録(最初の権利期間=10年)の場合: 10年分の登録料=28,200円×区分数

登録料も、『特許印紙』を商標登録料納付書に貼り付けることにより特許庁へ納付するのが一般的です。

5年登録にする場合には、商標登録料納付書の【納付者】欄の次に【納付の表示】欄を設け、そこに『分割納付』と記載してください。

郵送先や電子化手数料は、出願手続の場合と同様です。

商標登録証

商標登録(『商標権の設定登録』という行政処分)は、登録手続から約1~2カ月以内に完了します。

商標登録が完了してから約1カ月以内に、特許庁から下記のような『商標登録証』(商標登録されたことを証する書面)が届きます。

商標登録証の見本

<出典:特許庁ホームページ>

商標検索・調査のススメ

商標検索・調査の必要性

出願商標(出願した商標)が先行登録商標と同一または類似の関係にある、つまり、出願商標が先行登録商標と同一または類似で、かつ、出願商標の指定商品・指定役務が先行登録商標の指定商品・指定役務と同一または類似である場合、その商標出願は拒絶されます。

また、商標出願の審査には、少なくとも4~6カ月前後かかります。

従って、拒絶される商標出願で時間が無駄にならないように、出願前に、同一または類似の関係にある先行登録商標の検索・調査をしておくことをおすすめします。

なお、商標の類否判断においては、称呼(読み方)・観念(意味)・外観(見た目)の少なくともいずれかがまぎらわしい場合、原則として類似商標と判断されます。

商標検索・調査の方法

特許情報プラットフォームの『商標検索』において、称呼(読み方)や商標などで先行登録商標の検索・調査が可能です。

詳細な検索方法については、各検索サイトのヘルプをご参照ください。

商標の識別力にも注意

出願商標に識別力がない、つまり、出願商標が指定商品の品質・原材料・生産地などや指定役務の質・提供場所などを表すにすぎず、他人の商品・サービスと区別できないと判断された場合、その商標出願は拒絶されます。

従って、商標の識別力にも注意が必要です。

登録できない商標の詳細については、特許庁ホームページ『出願しても登録にならない商標』をご参照ください。

商標登録を自分でやるメリット・デメリット

自分でやるメリット

商標登録の手続を自分(自社)でやる場合には、印紙代(特許庁費用)だけで済むというメリットがあります。

自分でやるデメリット

但し、商標登録の手続を自分(自社)でやる場合には、以下のようなデメリットもあります。

  • 商標登録の手続・流れ・費用を調べるのに時間がかかる。
  • 商標検索・調査のやり方がわからない。
  • 商標検索・調査ができたとしても、調査結果が十分かどうかわからない。
  • 商標検索・調査ができたとしても、先行登録商標に類似するかどうかわからない。
  • 商標検索・調査ができたとしても、検出された先行登録商標が多すぎて判断ができない。
  • 商標に識別力があるかどうかわからない。
  • 出願手続書類のひな型・書き方を調べるのに時間がかかる。
  • 指定商品・指定役務をどのように書けばよいかわからない。
  • 指定商品・指定役務が属する区分がわからない。
  • 指定商品・指定役務の内容が不明確である旨の拒絶理由通知を受けがちである。
  • 指定商品・指定役務の内容が不明確である旨の拒絶理由通知を受けたが、どうすればよいかわからない。
  • 登録手続書類のひな型・書き方を調べるのに時間がかかる。
  • 印紙代を納付するための特許印紙を販売している集配郵便局が遠いので、買いに行くのに時間がかかる。

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