・『商標制度(商標法)』のことを全く知らずに自社のビジネスを行っている。
・自社の商品・サービスに使用する『ネーミング、会社名、会社名の略称、屋号、サイト名、マーク、等』が『商標』に当たることを知らない。
・他社の登録商標の存在を確認することなく、自社商標をすでに使用している。
・他社の登録商標の存在を確認することなく、自社商標をこれから使用する予定である。
・自社で考えた『ネーミング』だから、自社に何らかの権利がある。
・自社で新たに考え出した『造語』だから、自社に何らかの権利がある。
・自社商標を『先に使用』していれば、自社商標と同一または類似の他社商標が商標登録されることはないので、安心だ。
・自社の『会社名』や『会社名の略称』は、自社しか使用することができない。
先行登録商標・先行商標出願の存在を確認することなく、商標出願をする予定である。
商標とは?
商標の定義
『商標』とは、自社の商品・サービスと他社の商品・サービスを区別するための『識別標識』のことです。
例えば、商品・サービスに使用する『ネーミング、会社名、会社名の略称、屋号、サイト名、マーク、等』が、『商標』に当たります。
つまり、商標は、『商品またはサービスとワンセット』で使用されるものです。
商標の種類
商標の種類としては、主に下記の3種類があります。
文字商標=文字のみの商標 例1:KING 例2:レインボー
図形商標=マーク(図形)のみの商標
例:ヤマトホールディングス株式会社の登録商標第3085606号
結合商標=文字とマーク(図形)等を含む商標
例:花王株式会社の登録商標第5315304号
商標登録と登録商標の違い
商標登録とは?
『商標登録』とは、 特許庁に備えられる商標原簿に『商標権の設定の登録』をするという行政処分のことです。
そして、『商標権』とは、指定商品または指定役務(指定した商品またはサービス)について『登録商標』の使用を専有する権利(独占排他権)のことです。
つまり、商標登録においては、商標だけが登録されるのではなく、『商標と商品またはサービスがワンセット』で登録されます。
登録商標とは?
商標を使用する商品・サービスを指定した『商標出願』の手続を特許庁に対して行い、約8~14カ月かかる審査にパスすれば、『商標登録』を受けることができます。
つまり、『登録商標』とは、商標登録を受けている商標のことです。
『登録商標(Registered Trademark)』であれば、商慣習的に使われている『®(Rマーク=登録商標マーク)』や『登録商標』の文字を、自社商標に付記することができます<例えば『KING®』『登録商標 むらすゞめ』>。
他社の商標権を侵害する場合とは?
商標登録されれば、『登録商標』になり、知的財産権の一種である『商標権』が発生します。
そして、登録商標<例えば『きんぐ』>と同一・類似の商標<例えば類似の『KING』>を、
指定された商品・サービス<例えば『ようかん』>と同一・類似の商品・サービス<例えば類似の『ケーキ』>に、
商標権者(商標権の所有者)に無断で使用すれば、
『他社の商標権を侵害する』ことになります。
つまり、商標権の効力は、登録商標の
同一範囲<商標が同一かつ商品・サービスが同一>だけではなく、
類似範囲<商標が類似かつ商品・サービスが同一、商標が同一かつ商品・サービスが類似、あるいは、商標が類似かつ商品・サービスが類似>
にまで及びます。
商標登録をなぜするべきなのか?
文字で構成された『文字商標』は、自社の会社名やその略称の場合を含め、自社で考えたネーミングや、自社で新たに考え出した造語であっても、『著作物』には当たりません。そのため、文字商標については、原則として『著作権』は発生しません。
一方、『図案化した文字商標(ロゴタイプ)』や、マーク(図形)で構成された『図形商標』を自社で創作し、それが『思想または感情を創作的に表現したもの=著作物』に該当すれば、『著作権』が発生しています。
しかし、著作権では著作物ごとに別個の独占権になるので、自社商標と他社商標が偶然に同一・類似の場合には、他社商標による著作権侵害は成立しません。
また、他社商標が自社商標と同一でなく、他社商標と自社商標のありふれた表現が類似しているだけの場合にも、他社商標の使用による著作権侵害は成立しません。
これに対し、自社商標について『商標登録』しておけば、客観的に他社商標が自社の登録商標の同一・類似範囲内にある場合には、上記の通り、他社商標の使用による商標権侵害が成立します。
従って、自社商標を法的に守るためには、権利侵害の成立が客観的にわかる『商標登録』をするべきなのです。
商標登録は早い者勝ち?
自社<例えば『うさぎ社』>が先発で、他社<例えば『かめ社』>が後発の場合において、
先に使用していた自社商標<例えば『きんぐ』>と同一・類似の他社商標<例えば類似の『KING』>につき、
自社の商品・サービス<例えば『ようかん』>と同一・類似の商品・サービス<例えば類似の『ケーキ』>を指定した
商標出願の手続を他社<例えば『かめ社』>が先に行えば、後発にもかかわらず、原則として他社商標<例えば『KING』>が商標登録されます。
つまり、商標登録は、『早い者勝ち』です。
従って、自社商標を法的に守るためには、誰よりも早く商標登録(商標出願)するべきなのです。
商標調査をなぜするべきなのか?
他社の登録商標の存在を確認することなく自社商標を使用すれば、上記のように、自社商標が他社の登録商標の同一・類似範囲内にあるおそれがあるので、他社の商標権を侵害するリスクがあります。
また、
■先行登録商標の同一・類似範囲内にある商標出願
■商標に識別力がない(自社の商品・サービスと他社の商品・サービスを区別できない)とされる商標出願<例えば、指定商品『納豆』についての『こんにゃく納豆』>
は拒絶されると共に、商標出願の審査には約8~14カ月もの期間がかかります。
従って、商標権侵害や無駄な商標出願を回避するためには、事前に『商標調査』をするべきなのです。